２０

• 黒ラノ
• 朝日菜文庫

凪沙「上手くやる気を出させて練習に参加させたいって思うのは、悪いことなのだ？」

宮地「誰もそこまで言ってねぇぞ」

蛍原（私の話だ……）

　これじゃあ余計に出られない。
　じっとしていると、２人はすぐに立ち止まって会話を続けだした。

凪沙「宮地先輩がそう言うとそう聞こえるのだ」

宮地「前からしょっちゅう思ってたけど、かなり失礼だなてめぇ」

凪沙「アドバイスとかないのだ？」

宮地「人の話聞けよ高尾か。まぁ、普通に役割とかやれば来るだろ。俗に言う＂北風と太陽作戦＂な。冷たく接すんじゃなくてあったかく見守るヤツ。蛍原ってそういうタイプだろ、通り名《太陽》だし」

凪沙「……なるほど」

　私は黙って聞いていた。
　やる気とか、そういう泥臭い次元の話じゃないのに。凪沙先輩のそういうお節介は普通なら嫌いなのに。


　私のことを考えてくれた宮地先輩のアドバイスは普通に嬉しかった。