５９

• 黒ラノ
• 朝日菜文庫

藍沢「私の本当の戦いは、多分これからなんだと思います。正直不安しかありませんが、敦がそう言ってくれるだけで――本当に、大丈夫だと思えるのです」

　心臓がバクバクする。

　不安だ。そして怖い。緊張もする。――でも、きっと乗り越えて行ける。

紫原「だって大丈夫だし」

藍沢「あははっ。敦のそういうところ、見習わないとですね」

　流し切っても、まだ溢れ出す。
　私は泣いて、また拭って、涙でキラキラと輝く空を見上げた。





藍沢「――大好きですよ、敦」





　虹がかかってもおかしくない空は、やがて日没を迎え。

　東京では見れない星々が、紫と藍色の空に輝いているのを私たちは静かに視認した。